みそ汁の歌

私が児童養護施設にかかわって10年、最初は会計の指導だけだったのが、児童養護施設で東京都サービス推進費経営コンサルティングをしたことがきっかけで、施設のこどもたちと深くかかわるようになりました。こどもたちを集めてキャッチボールをしたのがきっかけで、野球部を作ることになり、監督としてノックバットを持つようになりました。野球部のニックネームは『ギャングスターズ』、何しろその名前通りのチームです。始めて3年目までは練習試合でも勝ったことがなく、四球、盗塁、暴投、押し出しでコールド負け。取り柄と言えば、くよくよしないことだけという『ギャングスターズ』でした。

4年前の夏休みの8月、千葉の児童養護施設の野球部との交流試合を行うため、意気揚々と千葉県館山に車4台を連ねて行きました。というのも7月に練習試合とはいえ、チームとして初めて勝ったのです。しかも、その相手は前年『江戸っ子杯』の優勝チーム。優勝の原動力になった中学生バッテリーが卒業し、小学生バッテリーになっており、我が小学生中心のチームと変わりがなく、時間制限の変則なサヨナラ勝ちの11-10で歓喜の初勝利を飾ったというわけです。まあそんなわけで、意気揚々だったのです。

千葉館山では、1日目に海水浴を楽しみ、小さなカニ獲りに夢中になりました。最近の子ども達はプールでの遊びはしても海で遊ぶ経験が少ないのか、押し寄せる波に飛び上がり体をあずけ、嬌声をあげてはしゃぎ回っていました。

2日目、立派な市民グランドをご提供いただいてのダブルヘッター2試合。ベンチ前で『ルーキーズ』よろしく『夢にときめけ、明日にきらめけ、めざせ!江戸っ子杯!!』と大声を張り上げたのですが、意気込みもむなしく2連敗。中学生の球が打てませんでした。炎天下、2試合もしたのに・・・完敗。

しかし、そこが『ギャングスターズ』! 2連敗なのに元気いっぱい、いつもは駅前の公園を使っての練習なので、こんな立派な球場ということもあってか、時間ぎりぎりまで練習したいということで、練習延長、汗まみれ、泥まみれのまま、ユニフォームのまま車に乗り込んで帰路につきました。

東京湾に浮かぶアクアを快調に走り、海ほたるも通過し、首都高速へ。環状も早く抜け4号線にと思いきや事故渋滞でガックリ。
ハンドルを握る私も、子ども達を早く施設に返さないと夕食に遅れると焦り気味。気分転換に音楽CDをとっかえひっかえかけていて、たまたま千昌夫の『味噌汁の唄』というおもしろい歌がかかりました。東北訛りで若者を励ます唄ですが、ふるさとの母と味噌汁を大切にというくだりで、

♪何がポタージュだい!味噌汁でなきゃあ!♪ と諭して、
♪日本人なら、寝るのはふとん!下着はふんどし!♪ といいながら、
♪金髪女性だけはいいんじゃないか♪ と笑わせて、
♪今夜はしばれるねえ、雪になるんでねえべか、かあちゃんの味噌汁がくいていなあ♪

と言って、最後に♪かあちゃ~ん!!!♪と叫んで終わる内容です。

この最後のフレーズを子ども達がおもしろがって「かあちゃ~ん!!!」と大声を発します。何度も何度もアンコール、渋滞の中20回以上も聞き返しました。その都度、わざわざ車の窓を開けて「かあちゃ~ん!!!」の連呼です。

途中からふと考えさせられました。 — この子達は「かあちゃん」とか「おかあさん」とか、最近言っていないんだろうな — どんな気持ちで「かあちゃん」と叫んでいるのだろうか —

最初は、小学生だけだったのに、最後の方は一番無口な中学生のキャプテンまで、恥ずかしげに、でも気持ちを込めて大声で叫ぶようになりました。何かしら、彼らのこころの叫びを聞いたみたいで、目頭が熱くなってきました。

私自身も小学校3年で、優しい母を亡くしました。私が以前、パーソナリティを務めた『さくらFM』のラジオ番組「鳴瀧泰史の福祉フリートーク 地域子育てと自立支援」で、千葉県木更津市の児童養護施設『野の花の家』の花崎園長先生に、1年間にわたり『ねえ、おかあさんさがして』のコーナーを続けて、いろんなこどもたちの「おかあさん」を思う気持ちをお話いただいたのですが。花崎先生から番組の中で「鳴瀧さんが、なぜこのタイトルにこだわるのか、よくわかりました」と見抜かれました。

渋滞の車の中で、子ども達と一緒になって「かあちゃ~ん!!!」と叫んだ首都高速は、忘れられない夏の思い出になりました。

— 追伸 —

その当時中学3年だったキャプテンが高校を卒業して、今、吉祥寺「うわさのルポン」で調理見習として働いています。がんばれ、こつこつと、無駄な努力はない。

カテゴリー: 鳴瀧泰史のちょっとおもしろい話
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